2008年05月19日

地下鉄での小さな悲劇

 午後10時過ぎ、休日出勤を終えた私は、いつものように小川町駅の階段を駆け下り、ホームに出た。明日からもずっと休みなしかと思うと、極めて憂鬱である。まあ、とりあえずさっさと帰ろう。
 ホームの案内表示が「調整中」になっている。夕方に人身事故が発生したらしく、ダイヤが乱れているらしい。では、次の電車はいつ頃来るのだろう。そう思っていたところへ、放送が入った。
「4番線に参ります本八幡行きは、只今新宿駅に到着いたしました」
 参った。まだ新宿ということは、小川町まで10分以上かかる。それだけ運転間隔が空いているとなると、混雑も相当なものだろう。ここは回避する一手か。
 そこで、隣の岩本町駅まで歩くことにする。少し回り道をすれば秋葉原を通れるので、そちらを経由したが、日曜の夜10時過ぎだから、特におもしろそうなものもない。まあ軽い運動をしたと思うことにしよう。
 岩本町での待ち時間は5分ほどで、無事に本八幡行きに乗車。ところが、次の馬喰横山で車両点検のため数分停車。その次の浜町で座席が空いて座れたものの、その次の森下で車内清掃と点検のためにまたも数分停車。清掃が入るということは、泥酔客が嘔吐でもしたのか。本当に今日はついてないな。さっさと帰って、残り少ない休日をエンジョイしたいのに。
 今度こそ、あとは帰るだけだろう。そう思ったが、私は甘かった。遅れが拡大することはなかったものの、予期せぬ敵に襲われたのである。
 浜町で座った私の右隣には、大学生風の男が座っていた。その男は熟睡していた。そして、私の右肩にもたれかかってきて、いっこうに離れないのである。
 女の子ならともかく、野郎にもたれかかられるというのは不快なものだ。心身ともに疲れている状況では尚更である。しかも、私はこのところ肩凝りが悪化していて、昼にマッサージ店に行ったばかりなのだ。肩に負担をかけられると、マッサージの効果が半減してしまう。
 肩および二の腕の負担はかなりのもので、私の体もいくらか左方向に傾いた。体勢が若干きつい。席を立とうかとも思ったが、せっかく確保した席を、重しを避けるためだけに捨てるのは悔しい。この男が降りるのを期待していたが、結局私が降りる船堀まで、重しが外れることは全くなかった。
 時計を見ると、11時を回ったところだった。普段17分で行けるところが、1時間もかかった。ただでさえ憂鬱なところを不運に襲われ、もっと憂鬱になってしまったのであった。
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2008年05月16日

ちょっとした喪失

 切れた。気付いてみたら、あっけなく切れていた。これを買ったときに抱いた将来への希望と根拠のない期待感を思い出し、少しせつなくなった。

 昼下がり、私は新入社員の某君と食事をとっていた。仕事のことを中心に、さまざまな話で盛り上がった。家庭や学校での環境もあって、自分よりも少し若い人が最も付き合いやすい。
 そろそろ店を出ようと席を立つ。テーブルの上に置いていた携帯電話を手に取り歩き出す。そこで私は違和感を覚えた。握った携帯電話の形状がいつもと違う。
 テーブルを見る。やはり落ちていた。正月に春日大社で買った縁結びのお守りが、ストラップから外れてしまっていた。

 縁結びのお守りは、一昨年あたりから母や祖母がくれるようになり、自分でも買うようになった。携帯のストラップのほか、部屋の鍵にも付いている。ご利益があるかはわからぬが、持っていたほうが気が楽なのである。
 それは、言い換えるとお守りを持っていないと心細いということでもある。お守りを持たず良縁にも恵まれないという結果になると、「お守りを持っておけばよかった」と後悔する可能性があるが、お守りを持っておけば、少なくともその種の後悔をすることはない。気休めに過ぎないのかもしれないが、たとえそうであっても意味のないものではない。
 ゆえに、常時携帯していたお守りが外れてしまったというのは、私にとってはちょっとショックなことなのである。今年こそはと思い1月3日に春日大社で買ってからまだ4ヶ月あまり。過去に使っていたストラップと比較してもあまりに短い寿命であった。

 そうは言っても済んだことは仕方ないので、またお守りを入手するしかない。とりあえず日曜までに、近場にあって縁結びにご利益のある神社をネットで探すことにしよう。
posted by せた at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月11日

ここ数日のこと Part2

 十数年前に毎日通った道を、私は自転車で進んでいた。目的地は我が母校である奈良県立郡山高校だ。
 長い下り坂を進み、幼稚園の手前で左に折れる。上り坂を登りきると、右手にグラウンドが見えてくる。いつものように野球部が練習をしている。数年に一度は甲子園に出るという名門だ。実績といえば将棋同好会も引けを取らず、個人戦ではこの10年で9回全国大会に出ているはずなのだが、高校の内部もいろいろな意味で格差社会である。
 3つある門のうち最もしょぼい西門をくぐり、キャンパスに入る。吹奏楽部の女の子が楽器を吹いている。これも十数年前と変わらない光景だ。
「おはようございます」
 その中の1人から挨拶されて戸惑う。OBになってからも何度かこの場所を通ったが、こんなことは1度もなかった。まあ、卒業してから10年も経つわけで、ちょっと遊びに来たOBの大学生というようには見えないはずだから、驚くようなことではないかもしれないが。
 南館の裏側に回りこみ、自転車置場に自転車を置く。将棋の県大会の会場となっている冠山会館は、もう目と鼻の先だ。

 会場の大部分を占拠している高校生は見慣れない顔ばかりだが、運営本部に座っている先生方は、十数年前からあまり変わらない。まずは挨拶を済ませ、観戦に入る。
 奈良県の高校の大会には、たいていOBが何人も現れる。今回も延べ6人が顔を出した。この先例を作ったのはほかならぬ私であり、私のささやかな自慢でもある。

 大会自体は、正直に言ってそれほどおもしろくなかった。母校の後輩はベスト16までに皆姿を消し、結果も個人・団体ともに大本命が危なげなく優勝したというものであった。また、本命と言っても、今年のレベルが低かったから圧倒的に強かっただけで、数年前の奈良県のレベルでは厳しかったと思われる実力に過ぎない。
 奈良県の高校の大会は十年以上見てきているが、これだけレベルが低いのは自分の世代以来である。自分の世代は、個人での全国大会出場が全くなかった。学年で最も強いのは私だったが、1年生のときは上の世代、2年生以降は下の世代に勝てなかった。
 しかし、レベルが低いというのは、それほど悪いことでもない。レベルが下がれば下がるほど、多くの選手にチャンスが生じる。それは、モチベーションの向上にもつながる。
 初心者からスタートして地道に頑張ってきた選手が日の目を見る。そんな時代があってもいいだろう。母校の後輩に限らず、1人でも多くの選手がチャンスを生かしてくれることを期待している。
posted by せた at 01:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月07日

ここ数日のこと Part1

 5月3日の昼前、東静岡駅で電車を降りた私は、駅前のロータリーで車に乗り込んだ。運転するのは静岡に住む我が末弟(21歳)である。帰省の途中に通るので、飯でも行こうというわけだ。
 車の中はがらんとしている。かわいらしいぬいぐるみや、女物の傘などはない。そもそも、せっかくのGWに兄貴などと会っているのが動かぬ証拠。兄弟4人、趣味も性格も異なるが、このあたりは平手の手合いである。
 しかし、大学2回生で免許を取得し、部活の遠征等でちゃんと車に乗っている彼は、家族の中で唯一の真人間であるとも言える。両親はともに免許すら持っておらず、弟のうち1人も同様だ。私ともう1人はペーパードライバーで、マトモに運転ができるのは彼だけなのである。
 そんなことを考えているうちに、ステレオから音楽が流れてきた。Mr.Childrenの「【es】 〜Theme of es〜」だ。次の曲は「花 -Mémento-Mori-」。相方が兄貴とはいえ、ドライブでこの選曲をする彼は、たとえ車の運転ができても、私と互角級の駄目人間と認定せざるを得ない。

 彼の通う大学の近くを通り、海岸沿いの広い道に出る。海を見ると興奮するのは、内陸部出身者の悲しい性だ。しかし、それを割り引いても景色は素晴らしかった。天気が良く、左後方には伊豆半島が見える。富士山が見えることも多いそうだが、残念ながら角度が合わず、この日見えていたかどうかはわからなかった。
 しばらく進んで左に折れ、大崩海岸を通過。海岸が断崖絶壁になっていて、海の上に道路が建設されている部分もある。景色は素晴らしいのだが、アップダウンが多く急カーブも点在していて、非常に見通しが悪い。対面通行で、対向車もけっこう来る。ドライバーの運動能力と反射神経は信頼していた(家族の中で私が飛び抜けて悪い)が、経験値と安定感は疑問なので、不安はあった。
 末弟はこの難所を無事クリアし、焼津の某所にて昼食をとる。有名な漁港なので、ここは海の幸を食べる一手だ。味は期待通り、値段もまずまずだった。
 食事を終えたのは午後1時過ぎ。次の約束に向けてのタイムリミットが迫ってきたので、焼津駅まで車で送ってもらい、そこから電車で浜松方面に向かう。寝不足だったので、感想など考えもせず、あっという間に眠ってしまった。
posted by せた at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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