2009年06月29日

阪神戦

「神将でも何かしたいよなー」
 そもそもの始まりは、GWのウエスタン旅行の帰路にて発された一言だった。一緒に行動していた小林一三君と私の、どちらからともなくそんな話になった。
 とりあえず東京で対抗戦をしよう。相手は阪大を誘ってみよう。と、ここまではあっさり決まった。阪大は若手OBのチームが社団戦に出ているから人を集めやすいだろうし、主要メンバーとも面識がある。
 善は急げということで、その夜阪大OBの葉狩氏に電話。返事は言うまでもない。そこまで想定して、阪大を誘ったのだ。
 とりあえず参加できそうなメンバーの状況を確認した上で、数週間後に打ち合わせを行う。その席で、人数次第ではチェスクロックが足りなくなる可能性があることが判明したため、チェスクロック1個を購入して勝利チームへの賞品とすることに(費用はもちろん敗者負担)。そのほか、対局システムや準備の分担などを決めた。

 当日、朝9時半に銀座に集まり、皆で某喫茶店へ。この喫茶店に付属する会議室が、対抗戦の会場なのだ。コーヒーを飲みながら、相手チームの到着を待つ。しかし、それらしき団体はいっこうに現れず、開始予定時刻を過ぎた。OBの近況や現役の活躍など話題は腐るほどあるので退屈はしないが、苛立ちがないと言えば嘘になる。葉狩氏に電話してみたら、地名を勘違いして全く違うところ(さすがに銀座界隈だったようだが…)に行っていたとのこと。
 結局、相手チームは15分遅れで登場。何も遅刻のペナルティを考えていなかったことを少し後悔しつつ、我々は会議室へ向かった。

  さて、まずは15分60秒での対局である。小細工なしで勝負するオーダーを組んだら、相手も同じ考えだったようで、5-0から0-5までありそうという、エンターテイメント性の高い当たり方になった。
 私の相手は吉川氏。強敵だが過去の対局では幸いしている。序盤で駆け引きがあったが、相掛かりの相中住まいで落ち着いた。
 相手の仕掛けにより、私の陣の左辺から開戦。端を絡めた攻めに対し、私は空中にいた飛車を殺して対抗したのだが、これが良くなかった。駒得ながら右辺の壁が痛く、一方的に攻め倒されてしまった。飛車を殺す前に壁形をほぐしておく必要があったようだ。
 隣の小林君が純粋王手飛車を食らうなど、他の神将OBも精彩を欠き、結果は1-4。完封負けを逃れるのがやっとだった。当たりを見た時点でこうなる可能性もあると認識していたが…。

 昼食は神将OB6人で近くのイタリア料理屋へ。同じ料金なのに、パスタは少量でピザはボリューム満点なのがまことに不思議であった。朝の続きのような感じで雑談をしたくらいで、他に特筆すべきことはなかった。

 午後の1局目は10分30秒での対戦。初戦と全く違うオーダーを組んだら、今度は主力同士の対決がなく、神将側がやや不利な当たり方になった。
 私の相手は金岡氏。チェスクロック献上を免れるためには、絶対に負けられない対局である。横歩取りに誘導したら相手は気合良く乗ってきて、8五飛の昔(佐藤−丸山の名人戦の頃)流行した変化に。学生時代の経験が生きる展開で、ほどなく優勢になり、以下無難に勝ちきった。
 今度は接戦になり、2-2で副将の笹尾−吉川戦が残った。優勢な吉川氏が危険な順を選んだのでチャンスが来たかと思われたが、こちらの玉にぴったりの詰みがあった。かくして、チームの負けは早々と決定してしまった。

 最後は10秒将棋勝ち抜き戦。観戦で盛り上がるために敢えて勝ち抜きにしたのだが、チームの勝敗が既に決まってしまっているのが口惜しい。
 阪大神大阪大と交互に勝ち、ここで私の出番となった。相手は金岡氏。今度は矢倉に誘導されたが、急戦を仕掛けて必勝形に。その後多少もたついたものの、大差だったので無事に勝ちきった。
 次の相手は中野氏。相手チームでトップクラスの難敵だ。早石田をされたので乱戦を挑んだ(序盤力がないので駒組み合戦になると必敗なのだ)が、いきなり見落としがあって不利に。これは投了寸前か。しかし、良過ぎて困ったのか相手が自爆、大きな駒得で優勢になった。
 相手からの速い攻めを消し、あとはこちらから攻めるだけ…なのだが、相手玉が堅くどう攻めたら良いのかわからない。結局危険な攻め方をしてしまい、形勢は混沌。10秒だから萎える暇はないが立ち直る暇もなく、訳がわからなくなり、最後はきっちり逆転してしまった。感想戦をする気力も立ち上がる気力もなく、投了後しばらく動けなかった。
 残る2人も中野氏に打ち取られ、10秒勝ち抜き戦が終わった。自分がちゃんと勝っていれば、逆の流れになっていたかもしれないのだが、まあ弱かったということだ。そして、対抗戦は神将の完敗という結果で幕を閉じた。

 続いて打ち上げに向かおうというところで、現役部員から連絡が。神大が大阪市大を下し、第2代表戦の決勝に進出したとのこと。これはものすごい快挙で、自分達が負けた悔しさはいっぺんに吹っ飛んでしまった。
 打ち上げには阪大チームの全員と、神将から私と小林君が参加した。この出席率の差は、両チームの性格を的確に示している。他大学の飲み会に参加することもあった私などは、神将では異端の部類に入るのだ。
 勝った相手チームはもちろん、我々も現役が勝ったから非常に機嫌が良い。お互いのOBの近況や、将棋界の課題など、さまざまな話題で盛り上がった。余談だが、朝昼としっかり食べた上に酒もほとんど飲めない私は、支払いでずいぶん損をした気がする。昼をピザでなくパスタにしておけば…。

 締めは麻雀。小林君は全く打てないので、面子は阪大3人と私。したがって、阪大ルールが適用された。阪大ルールと言っても神将ルールに非常に近く、違いと言えば西入の条件(阪大ではトップ目が33400点持っていないと西入になる)くらいだった。
 勝利の女神はなぜかここで私に微笑み、最初の半荘は倍満ツモ2回でぶっちぎりのトップ。次の半荘は3着だったが、先の貯金が大きく快勝で終わった。
 そして私は、勝つところを間違え過ぎだと思いつつも、上機嫌で帰路についたのだった。

 昔の私ならば、ここで総括と今後の課題ということになるのだが、今回に関しては、やったことに意義があったと思っている。負けたのは残念だが、楽しい1日を過ごせたのだから、それで満足すべきだろう。両チームとも都合の悪く参加できなかったメンバーがいたので、次の機会があればもっと大人数でしたいものである。
 阪大チームの皆さん、どうもありがとうございました。またの機会があればよろしくお願いします。
posted by せた at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月01日

6年ぶりの学名応援

 家からの移動時間は1時間足らず。会社からだとわずか5kmほど。それなのに、心理的には実に遠く感じられる場所。将棋会館とは、そんな場所だ。
 学生時代、ここに選手として行きたいと思っていた。団体戦ほど情熱を傾けることはなかったが、それでも関西個人戦やオール学生に出場し、上をめざして戦ってきた。しかし、私の実力では将棋会館は遠かった。最も近づいたときでも、あと3勝が必要だった(余談だが、四日市で行われる十傑戦はあと2勝のところまで行った)。
 そんな将棋会館に、応援に行けることになった。母校の後輩である出口雄大君が、学生名人戦の出場権を得たのだ。神戸大学としては6年ぶりの快挙である。3月までは全く考えてもいなかったことで、ただ嬉しいの一言だった。自分が行けなかった大舞台に応援に行かせてもらえるというのは、OBとしては最高の幸せである。

 5月23日(土)、1回戦の序盤戦が繰り広げられている頃に、将棋会館に到着。廊下に神大OBの小林一三君がいたので声をかけ、2人で対局室へ。
「あの茶髪でスーツの子が出口君です」
 小林君に教えてもらう。今風の青年で、およそ神戸大学将棋部の一員とは思えない。新たな時代の到来を実感した。
 その出口君の1回戦は快勝。関東代表として学生名人戦に出場するほどの選手を圧倒するくらいだから、やはり相当強い。これで神大としては13年ぶりの領域に到達した。小林君によると2回戦の相手は相当な強敵のようだが、こうなると上位進出を期待してしまう。
 その後、小林君とドトールで雑談し、2回戦の対局開始に合わせて戻る。いつの間にか観戦者も増えてきた。対局数が1回戦の半分で、人が集中するようになるというのもあるだろうが。
 出口君の2回戦はゴキゲン中飛車VS△7四銀急戦で、小競り合いの後、第2次駒組みが延々と続いた。双方たっぷり時間を使っている。振り飛車の出口君が指せそうに見えるが、実戦的にはいい勝負か。
 他の対局が次々と終わっていく頃に決戦となり、しばらくして居飛車がはっきり優勢になった。6七にいた振り飛車の左金は8六へ追いやられ、7三にいた居飛車の右銀はいつの間にか5五で威張っている。
 勝敗が誰の目にも明らかになっても、出口君は指し続けた。投了する気にならないのだろう。やはり学生はそうでなければ。しかし、奇跡は起きず、神将の6年ぶりの学生名人戦は、ベスト16という結果で終わった。
 感想戦終了後、出口君のところに若い選手が何人か集まり、しばらく雑談をしていた。学生時代にも何度となく見せられてきた光景だ。中学・高校で全国大会の常連だった者は、全国に友達がいる。自分のような三流選手との違いを見せつけられるのは、盤上だけではなかったのだ。しかし、神大将棋部にもようやく、強豪とのパイプを持っている時代が訪れた。そう思うと、感慨深いものがあった。
 3回戦の設営が始まったため雑談は終わり、出てきた出口君と山田祥五君(京都大)に声を掛けて、小林君も合わせて4人でドトールへ。関西学生棋界の近況など、主に将棋の話で盛り上がった。2人とも爽やかな好青年で、大学将棋部員にありがちなアクの強さがまるで感じられない。将棋で負けた後だというのに、偉いものだと思った。
 小1時間ほど雑談して、再び将棋会館へ。3回戦の対局はまだ序盤から中盤の入口で、勝負どころは先のようだ。控室に行ってみたが、既に満員で入るスペースがない。過ごし方が難しいし帰ろうかと思った。他の3人も同じことを考えていたようで、まず小林君が帰り、私と学生2人もほどなく将棋会館を後にした。
 山田君とは千駄ヶ谷駅で分かれ、友人に会いに行くという出口君と秋葉原まで一緒に行く。将棋以外の話もいろいろ聞いてみたが、しっかりとした考えを持っているようで、実に頼もしい。団体戦でもエースとして活躍してくれそうだ。

「ありがとう」
 出口君にかける言葉は、それ以外に思いつかない。彼が活躍したから、我々は応援に行けた。すなわち、彼のおかげでOBとしての最高の幸せを味わうことができたのだ。ただただ感謝するばかりである。
 しかし、彼はこの結果に満足しているはずがない。もっと上をめざしていることであろう。私にできることは何もないが、そんな彼が、そして神戸大学将棋部が、それぞれの目標を達成してくれることを、心より願っている。
posted by せた at 01:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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