2008年11月17日

東北秋旅・その4

 酒田を15時37分に出た東能代行は、秋田へと北上していく。私は特にすることもなく、携帯電話で競馬の結果を調べるなどして、のんびりと過ごした。
 次第に太陽が西に傾いてくる。17時頃には日が暮れるだろう。この先の区間は海沿いを通るはずなので、うまくいけば海に沈む夕日を眺められるかもしれない。
 ガラガラの車内でそんなことを考えていたのだが、この平和な時間はあっけなく終わってしまった。途中の駅でハイキング帰りの客が大量に乗ってきて、立ち客も出るほどの状態になったのだ。数人のグループがいくつもあるようで、それぞれ雑談で盛り上がっていて、かなり騒がしい。
 やがて、電車は海岸沿いにさしかかる。車窓からは夕日が見えるらしく、興奮している客が多い。私は海側の席で山側を向いて座っていたのだが、反対側の席から人が押し寄せてきて、息苦しいほどだ。首を回せば海に沈む夕日を眺められることはわかっていたが、そんな気にもならなかった。スペースが狭くて他の客にぶつかりそうで、他人に迷惑をかけてまで見ようとは思わなかったのだ。
 車内から夕日を見る代わりに、私は電車を降りた。下浜という駅だった。この日は横手まで行く予定で、1本後の電車でも20時前には横手に着く。すなわち、あと1回途中下車できるのだ。ならば、この喧騒を回避し、静かな海を眺めるのがいい。
 駅を出たところにコンビニがあり、その右手には海岸へと下っていく階段がある。「下浜海水浴場」の表示もある。コンビニに立ち寄った後、階段を下る。
 数分歩いて砂浜に入る。海水浴場だけあって、夏は海の家として稼動しているらしい建物もいくつかあった。誰もいないだろうと思っていたが、1つだけ人影があった。誰もいないよりかえって不気味だ。
 太陽は雲に隠れていたが、夕焼けは美しい。波打ち際まで歩き、何枚か写真を撮った。風がきつく、かなり寒い。ずっとここにいたら風邪を引きそうだ。とりあえずコンビニに戻り、ホットドリンクを買って、駅のベンチで飲んだ。DSCN0237.JPG
 まだ時間はたっぷりある。そこで、少し休憩した後、再び海岸に下りた。当然ながら、先程よりも暗くなっている。再び景色をカメラに収める。
 駅に戻り、再び先へ進む。今度はうるさい行楽客もおらず、撮った写真を見るなどしてのんびりと過ごした。秋田で湯沢行に乗り換え、本日の最終目的地である横手に向かう。

 横手に着いたのは夜の8時前。まだ宿をとっていなかったので、駅前にあったビジネスホテルに電話してみる。1泊素泊まり4500円とのことで、即座にここに決定。それ以上に節約しなければならないという局面ではない。
 荷物を置いて少し休んだ後、夜の街に繰り出す。目的は名物・横手焼きそばを食べることだ。駅に広告を出している店に行ってみたが、臨時休業だったので、駅前にある居酒屋に入る。ここでも横手焼きそばを食べることができ、実はけっこう有名店のようだ。
「なんにする?焼きそば?」
 見知らぬ客を見た店員のおばちゃんは、こう声をかけてきた。おそらく私のような旅行者はけっこういるのだろう。
「とりあえずビールで」
 少し酔ったところで、待望の横手焼きそばをいただく。焼きそばの上に目玉焼きが乗っているのが特徴だ。肉は挽き肉を使っており、これも珍しい。名物だけあって、味はなかなか良かった。卵と焼きそばは相性が良い。欲を言えば、もう少しボリュームがあればなお良かったが。
「あら、色男」
 支払いをしようとした際、店員のおばちゃん(さっきの人とは別人)にこう言われて、「どこがやねん」とツッコミを入れたくなった顔面真っ赤の酔っ払いがいたことは内緒である。

 こうして、朝5時前から始まった長い1日が終わった。無事に1日を終えた喜びよりも、あと1日で非日常が終わることによる憂鬱さの方が大きかった・
posted by せた at 01:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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